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Greeting

オルガネロパチーをみる

2014年4月1日付にて、前任の内山安男教授(現老人性疾患病態・治療研究センター長、特任教授)の後を受け大学院医学研究科神経機能構造学講座教授に就任いたしました。

私は1998年に大阪大学医学部を卒業し、内山教授が率いる解剖学講座の大学院生として研究を開始いたしました。内山教授の指導のもと、オートファジー・リソソームタンパク分解系・細胞内物質輸送・細胞死をキーワードとして、様々な関連する遺伝子の欠損マウスの解析を行ってまいりました。オートファジー・リソソームタンパク質分解系の中枢神経系での破綻は、リソソーム病など重篤かつ希少な神経変性疾患の発症に関連します。2008年に順天堂大学着任後は、本学がパーキンソン病研究のメッカであることの強みを活かし、より一般的な神経変性疾患を理解するための希少疾患研究という観点に基づき研究を継続して参りました。

教授就任後は「オルガネロパチー」を大きな研究テーマとして掲げ、研究テーマ遂行のために必要な「光顕から電顕までのシームレスな観察」のための技術開発も同時に進めております。

オルガネロパチーと神経変性疾患

近年、神経変性疾患の原因遺伝子が次々と同定され、これら遺伝子のコードするタンパク質が様々なオルガネラの機能維持に関連することが分かって参りました。そのため、神経変性疾患発症のメカニズムを理解するためには、これまで行ってきたオートファジー・リソソームタンパク質分解系異常の関与にとどまらず、他のオルガネラの機能異常との関連や、各種オルガネラ間の相互作用の破綻など、広い意味でのオルガネロパチー (オルガネラ機能の破綻)に着目する必要があると考えております。現在そのような観点のもとで、神経系におけるオートファジー・リソソームタンパク分解系のみならず、ゴルジ体、ミトコンドリアなどの機能や品質管理の破綻の影響についても検討すべく、各種モデル動物や疾患iPS細胞を用いた解析を行っております。

光顕から電顕までのシームレスな観察法の開発と利用

正常および病態時のオルガネラの状態、オルガネラ間の相互作用を検討する上では電子顕微鏡観察が必須です。今後はオルガネロパチーに伴う神経回路病変の評価へと研究を発展させるべく、同一細胞組織について光顕から電顕レベルまでシームレスに解析するための各種相関観察法の開発が急務と考えております。そのニーズに応えるため、既存の観察技術に加えてウイルス注入、組織透明化技術、電子顕微鏡三次元立体再構築なども組み合わせ、神経組織や疾患特異的iPS細胞における各種オルガネラの超微形態レベルの病態変化を解析するためのpracticalな手法の開発を行っております。

これらの2つの大きな取り組みにより、オルガネロパチーによる神経回路病変の形態学的評価へと研究を発展させていきたいと考えております。本講座では光顕から電顕までの基本的な形態解析技術の習得のみならず、細胞生物学から神経科学に至る広い技術を習得することが可能です。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

History

昭和19年4月に設立された順天堂医専では、東大解剖から人的な協力を仰ぎながら解剖学の授業が続けられました。順天堂大学解剖学の初代教授である椿宏治は、昭和25年4月21日に就任しました。昭和31年3月に益田栄を教授に迎えて2つの解剖学講座となり、第1、第2解剖学講座はそれぞれ解剖学・生体構造科学講座、神経生物学・形態学講座と名称を変えながら現在に至ります。

第2解剖学講座歴代講座主任教授

初代 益田 栄 (1956-1978)
第二代 新井 康允 (1978-1998)
第三代 内山 安男 (2008-2013)
第四代 小池 正人 (2014-現在)

教員(2024.4.1現在)

主任教授 小池 正人
教授(兼) 日置 寛之
客員教授 Bruno Humbel
非常勤講師 髙野 吉郎、櫻井 武
助教 曽高 友深・横田 睦美・亀田 浩司・山内 健太
助教(兼) 岡本 和樹
特任助教(兼) 岡本 慎一郎・高橋 慧